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『登り窯で焼き上げる器』

Oct 29, 2017
とっても温かみがある川尻製陶所の器。
どうやったらそんな器が生まれるのか知りたくて、2か月に1回だけ行う「窯焚き」を見させてもらいました。

登り窯は、自然の傾斜を利用して作られた窯で、薪を焼いて器が出来上がります。
登り窯の各部屋は一番下が大口となって、その上から一番窯、二番窯...と焼成室が続き、それらがつながっています。
そして最上部の部屋の先は煙突へと続きます。
また、各焼成室には薪を放り込むための小さな穴があります。
自然の環境下で焼くため、同じ条件は一度としてなく、毎回炎の調整が必要です。
最近は、ガス窯や電気窯を利用しているところも多く、24時間2日間かけて絶やさずに薪をくべ続けていく登り窯の作業は、一見非効率にも見えます。

でも「薪で焼けちゃうから~、それが凄いよね~!」と笑う川尻さん。
火の微妙な加減によって現れる色味が味となってできあがる器。
登り窯の構造上、器の焼き加減をすぐに見ることができないので、器の焼き加減を確認する為に小さな穴があり、その穴に棒を入れて小さな器を取り出します。
川尻さんの真剣な眼差しの先には、赤くひかり輝く器。
少しずつ冷めていく器の焼き加減を目と音で確認していました。

「まだ早い。釉薬が溶けだしていない・・・」
「ちょっと溶けだしてきた・・・」
「これでよし~!!」

焼けてきたけどもう少し!!この15分程の焼く時間の差が、器の仕上がりの差に繋がります。
やっとの思いで焼いた器は、そのあと3日間冷ますそうです。
窯を開けてみるまで器の仕上がりがわからない!
本当に時間をじっくりかけて、器が仕上がっていきます。

今回の窯炊きで、器が持つストーリーや作り手の思いを少なからず感じることができました。
私たちの役目の一つである『伝える』という事。
「素敵~!」と器をみてくれたお客様に、作品の良さだけでなく川尻さんの器に対する愛情まで伝えていきたいと思います。

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